アイスワイヤーの特殊加工|-196℃で24時間「Deep Freeze」冷却極低温冷却処理
アイスワイヤーを使用したアーシングキットは、ケーブル・端子に特殊加工を施す事で、電気の流れをスムーズにしています。
液体窒素を使用し-196℃という超低温環境で24時間以上冷却することで、金属の原子の並びを整頓させる方法で電気の流れをスムーズにする事に成功しています。
極低温冷却処理と呼ばれる特殊技術は、宇宙開発、医療機器、発電所など様々な分野で活用されており、その技術を活用しています。
極低温冷却処理「Deep Freeze」について
素材の極低温に適した取扱いは、30年以上も前に金属の耐用年数を強化するために始まり、航空・宇宙産業で存在してきました。
重要とされるのは、温度と時間、冷やす工程と戻す工程で、そのプログラムにより優秀な結果を出すことができます。
アメリ力の低温学社会では、120K(ケルビン)”-153℃”未満を極低温と定義させました。
その技術は、金型、 モータースポーツ、楽器、ナイフなど応用され身近なものへ応用されてきました。
金属の強度アップとともに研究されたのが電気の流れについてです。
絶対零度では金嵐など の物質は超電導となると発見したのがオランダの物理学者オンネスで、 1913年にノーベル物理学賞を受賞して100年以上、超電導の研究とともに常温でも性能があげられないかという研究も進められてきたのです。
金属の強度をもたせるためのプログラムと導電率を上げるためのプログラムは違い、とても複雑でデリケートです。
電線やセンサーへの処理は海底油田の探査や発電所、そしてハイエンドオーディオ機器やオーディオケーブルへと採用されていきました。
極低温冷却処理「Deep Freeze」の詳細
オーディオの分野では「低温処理による性能の向上技術」が注目されてきました。
これは、要約すると「材料を極低温処理することにより物性を整えて、電気的、機械的な特性を向上させる技術」です。
ただ、この「極低温冷却処理J」を謳っているのが極めて特異なガレージメー力一が多いためか、いまだに「極低温冷却処理」の効果自体を懐疑的に考えられている場合があります。
しかし、すでに「極低温冷却処理による物性の改善技術」は、オーディオの業界や工具鋼工業や刃物の世界では有名な技術なのです。
誤解のないように、この「極低温冷却処理」についてご説明したいと思います。
「極低温冷却処理」と呼ばれている技術には、様々な処理があります。
1.サブゼ口処理(ガス冷却方式 / 液沈方式)
部材を最低温度で約-80℃まで冷却し、分子レベルの物性を整える技術です。
本来、どのような物質でも、分子レベルでは不規則な配列になっています。
物質が冷却されると分子間が狭くなり体積が収縮しますが、その際、分子同士が規則正しく凝集され ます。
つまり、バラバラだった分子配列が規則的になります。
一旦冷却した後、温度が上がり凝縮した分子が元に戻る際も、配列はバラバラにならずに規則的な配 列のまま広がっていくのです。
その結果、分子レベルのストレスが解消(バラバラに並んでいた分子が規則的に再配列)されて機械 的強度が増したり、電気的な抵抗成分が減少する事が有るのです。
サブゼロ処理は、低温処理といっても、比較的簡単に出来るガス冷却処理から、部材を低温液体の中 に埋没させる液侵処理に大きく分かれます。
ガス冷却は冷却容器に工業用ドライアイスを使用し処理しますが、ある程度の知識と技術があれば処理が可能です。
しかし、冷却温度は-4O℃=-5O℃程度で分子の再配列効果も劣ります。
そこそこ効果的な技術で比較的低コストで処理が出来るので、様々な製品に施されています。
さらに効果的な技術として、工業用ドライアイスと工業用アルコールを使用した液侵処理があります。
ここまで来るとかなりの技術と管理技術が必要とされるので、専門工場と技術者が施工する事となります。
冷却温度は約-80℃程度まで可能で、高度な分子再配列効果が期待できます。
2.クライオジェニックトリートメント(ガス冷却方式/液沈方式)
極低温の液体、液体窒素を使用し、部材を最低温度-196℃まで冷却して原子レベルの物性を整える技術をクライオジェニックトリートメントと呼びます。
サブゼロ処理に比べて逓かに低い温度で処理を行うクライオジェニックトリートメンでは、原子間の摩擦が減少し分子のみならず原子レベルで凝縮が起こり、正しい配列(ストレスを受けない状態) へと再配列が起こります。
しかし、冷却時に大きな体積収縮が発生するため、極めて高度な温度などの管理技術が必要で、急激 な温度変化を部材に与えると、 テレビ番組の実験の様に部材が崩壊してしまいます。
そのため、クライオジェニックトリートメントは物理的に 高度な特性が必要な部品(発電所のベアリ ング電極、難切削材用の超硬工具等)など一部のみ行われています。
冷却した窒素の気体中で行うガス冷却処理では、冷却容器の底に液体窒素を浸しその上に部材を配置して冷却された窒素ガスによる間接冷却を行います。
この処理では、部材を-120℃〜-150℃での冷却となります。
もうーつのクライオジェニックトリートメントはサブゼ口処理でも紹介した液沈処理です。
この場合 液体窒素に部材を浸して、窒素が液体窒素になる温度である-196℃まで部材を冷却することが可能です。
冷却工程
この処理は特殊な冷却容器の中に部材を配置し、その容器中に-196℃/77Kレベルというとてつもない極低温の液体窒素を充填するのですが 、当然部材は温度変化の大きさに比例して非常に大きな体積収縮をおこします。
そのため、緩やかに冷却して段階的に体積変化のストレスを取り除かないと部材が破損するなどの崩壊を起こします。
沈静工程
さらに、冷却工程が成功しても、極低温下では部材の弾性が殆どなくなるので、衝撃はもとより、振動でさえ崩壊の危険が生じるため、 次の沈静工程(極低温下で原子が再配列するのを待つ工程)には、 高度な管理技術が必要とされるのです。
また、極低温下で非常に長い時間沈静化させる理由は、 たとえ原子間の摩擦が減少しても各原子は高速で再配列しないので(材質によって差異があります)整うまで長時間の沈静工程が必要だからです。(-196℃で最低20時間の沈静工程を施工しています)
除冷工程
最後に極低温下で原子配列を整えた後、極低温下から常温に部材を崩壊させずに生還させる、除冷工程があるのですが、部材が大きく体積収縮を起こしている極低温の状態から常温に戻す際に、大きな体積膨張が発生するこの工程が最も技術を要する工程なのです。
不活性ガス中で最低でも24時間を掛けて段階的に常温へと生還させることで、デリケートなオーディオパーツなどへの極低温冷却処理を可能としたのです。
3.Deep Freezeトリートメント
Deep Freezeトリートメントは、長年の研究により開発した独自の極低温処理技術です。
まず、サブゼ口処理で分子レベルの物性を整えた後、 さらにクライオージェニックトリートメントを施し、原子レベルまで完璧に物性を整える技術です。
このDeep Freezeトリートメントは、サブゼロ技術と、クライオージェニックトリートメントの長所を組み合わせた、より効果が高く熟成された極低温技術なのです。
Deep Freezeトリートメントが他の低温技術より優れる点は、原子レベルで部材を完璧なストレスフリー状態へと再整列できることなのです。
Deep Freezeトリートメントの処理工程
まず部材の熱を取り除く除熱工程ガスで施工) から始まり、最終的には極低温の液体窒素の中に埋没させるのですが、この液侵工程(-196℃/77Kレベル)極低温状態から、常温(20℃)まで部材を崩壊させずに、生還させる除冷工程にいたる述べ時間は、最低72時間使っています。
これらの処理に関しては、国内屈指の熱処理会社(ISO9001、ISO14001 共に取得)や、極低温液の供給会社と技術提携をしながら行っており 町工場レベルとは根本に施術のレベルが異なります。
もちろん、二重に処理を施すため、複雑なエ程の管理技術のみならず コスト負担も大きくなります。
工業の基礎技術研究の過程で、 有効である事を発見しました。
適切な温度管理及び時間管理
特にオーディオパーツはその材質により様々な特性を有していますので、その特性に合ったクライオ ジェニックトリートメントが必要とされます。
町工場レベルでは主に、ドリルの刃やネジなどの硬度を強化する目的での単純な処理しかできず、ケーブルやコンセントといった複合材(樹脂、銅、真鍬、鉄など)に対しての複雑な温度管理や時間管理が出来ません。
しかし、その問題に果敢にトライし様々な温度係数を試しながら、Deep Freeze トリートメン トの処理の有効性と、安全性を確認したのです。
低温処理の有効性と安全性
様々な研究を行い「オーディオ機器に使用されている部材に低温処理を施すと、 高いレベルの特性を発揮する事を確認」しています。
しかし、非常に低温で処理を行うため、部材その物の特性や安全性が低下したり、最悪の場合は使用 不能(壊れてしまう)恐れがあるので、 処理には慎重な検討が必要とされます。
例えばし、鉄は軟鉄の状態では強磁性体なので磁石に使われますが、低温処理を行うと硬鋼へと変体が進むので、磁性が弱くなってしまいます。
つまり、スピー力一のマグネットなどを処理することは逆効果なのです。
それに対し、銅線に施す場合は非常に高い効果を発揮する事があります。
銅線は引き抜き工程時に、ストレスにより加工硬化をおこし、硬銅状態へと組織が移行します。
その状態では導電性が低下するので、焼きなまし(アニール処理)を行い、特性を向上させます。
これら熱処理は結晶レベルでの物性改善効果しかありません。
しかし、Deep Freezeトリートメントは物質の根元要素である原子レベルので物性改善が可能なので、高度を落とすことなく大幅な導電性改善が可能な現代科学最高の熱処理技術なのです。
実験では、ソレノイドインダクターが、最高50%ものDCR(直流抵抗)減少を記録し、現在日本を代表するハイテクメーカーと共同研究作業が行われています。
もし、電気のことを詳しい方がお読みいただければ、このようなDCR減少効果に失笑されるかも知れませんが、Deep Freezeトリートメントはアニール処理と比較し、数倍の導電性改善効果が確認されています。
様々な温度管理方法を試し、関連企業とその効果と安全性を研究した結果、多くのオーディオパーツがDeep Freezeトリートメントの前後で同等以上の特性と耐久性、安全性を確保できるレベルに達しました。